男性介護者交流会

センター・団体名:

1.事業概要

事業の位置づけ

「第2次静岡市男女共同参画行動計画」(平成21~26年)の9つの基本的施策に基づき、女性会館事業を展開している。男性介護者交流会は「基本的施策1 男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し」「基本的施策2 男女の人権を尊重する教育や学習の充実と意識改革」「基本的施策4 地域における男女共同参画の推進」「基本的施策6 家庭生活と職業生活その他の社会における活動の両立」にあたる。


企画の背景

静岡市でも少子高齢化が加速している。「単身世帯」が最も多くなり、「夫婦と子ども世帯」「夫婦のみ世帯」が続く。「夫婦と子ども世帯」の子どもは、すでに成人している未婚の子どもが増加している。こうした変化によって、介護をめぐる家族関係も変化している。嫁による介護が減少し、夫婦間介護(とりわけ夫)、実子介護(とりわけ息子)が増加している。静岡市でも男性介護者は増加傾向にあると思われるが、従来、介護は女性の問題とされてきたため、男性介護者の存在が見えない現状がある。介護者の集まりや講習会があっても、参加者は圧倒的に女性である。男性介護者の抱える困難を推察してみると、以下のようなことがあげられる。


  • 家事や介護のスキルを持たない男性にとって、介護に対する負担感は大きい
  • 弱みを見せないといった男性性によって、支援を受けにくい
  • 性別役割分業によって地域に関わってこなかった男性は、孤立しがちである
  • 夫婦間介護の場合、男性介護者も健康問題を抱えている
  • 実子介護の男性の場合、仕事の継続困難に陥りやすい

これらの現状を想定すると、男性介護者に向けた支援が必要である。


ねらい

ジェンダー規範の強い男性ほど、親や妻の介護に直面した時に、家事に戸惑ったり、人間関係に悩んだり、孤立を招きやすい。男性介護者同士の交流を図ることで、お互いに悩みを分かち合い、介護のスキルや支援の情報を提供し合い、孤立を防ぐ。


対象

親または配偶者の介護に携わっているおおむね50 歳代以上の男性


テーマ

介護とジェンダー


今年度予算

ファシリテーター謝金、消耗品等 4万円


定員

男性介護者 各回10名程度


連携したネットワーク

地域包括センター、静岡県介護・実習普及センター


2.プログラム

男性介護者を対象にした事業を初めておこなった平成22年度は、男性介護についての講演会と実技研修を組み合わせた。講師の津止正俊さんは、社会福祉協議会で20年間勤務した後、研究者となり「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」の事務局長も務める。講演会には30人の参加者があったが、実際に介護している人より介護予備軍が多く、当事者に限定した交流会への参加者は12人だった。

津止さんから男性介護者の実態や今後の支援のあり方についてアドバイスをもらい、プログラムを改善しながら継続的に男性介護者支援に取り組むことを決めた。

平成23年度は、定員を絞り、ゲストの話を交えながら、フリートークの交流会を3回おこなった。また、毎回、曜日を変えておこなったところ、平日の昼間の方が参加しやすいことがわかった。

平成24年度は2年間の試みで得た参加者の声から、交流会のみ平日の午後、実施することになった。


24年度「男性介護者交流会」

日時 内容 ファシリテーター
9 月~ 3月の
毎月第3 火曜日
13:00 ~ 15:00
男性介護者交流会「フリートーク」 メンズサポートしずおか
木村 幸男さん

平成23 年度「男性介護者交流会」

日時 内容 講 師
4/23(土)
13:30 ~ 15:30
交流会 社会福祉士
野嶋 稔さん
8/5(金)
13:00 ~ 15:00
男性介護者を取り巻く最近の状況に関する講話と交流会 立命館大学教授
津止 正敏さん
1/12(木)
13:00 ~ 15:00
交流会 心理カウンセラー
松林 三樹夫さん

平成22年度「男性が介護するということ」

日時 内容 講 師
7 月24 日(土)
13:30 ~ 16:00
第1 部 講演会「男性介護の実態」
男性介護の実態と孤立しないための解決策についての講演
第2 部 男性介護者交流会「フリートーク」
立命館大学教授
津止 正敏さん
8 月7 日(土)
13:30 ~ 16:00
第3 部 介護実技講習
(共催)介護・実習普及センター
介護講師ねっと
柴 美重子さん

3.男女共同参画の視点に立った事業を実施するための工夫

今年度は交流会のみに特化し、9月に第1回目を開催したが、以降のことは、参加者の意見をもとに決めることにした。定期的に顔を合わせたいと考えた参加者から「毎月1回、集まりたい」と提案があり、参加者同士の話し合いによって、毎月第3火曜日午後に開催することを決めた。

毎回、フリートークをはじめる時には、担当者が安心して自分のことを語り、考えられる場所にするために「ここで話すことは外に持ち出さない」「話している人の話をさえぎらないで、最後まで聞く」「話してくれた人の話を否定しない」ことを参加者に伝えている。お茶とお菓子を用意し、和やかな雰囲気づくりを心がけている。

毎回の交流会には参加者と同年代の「メンズサポートしずおか」共同代表の木村幸男さんにファシリテーターを依頼している。木村さんはNPO法人静岡県ボランティア協会の理事や静岡市男女共同参画審議会委員も務め、男性相談やいのちの電話にもかかわり、男女共同参画の視点を持っており、参加者の話をうまく引き出している。性別役割分担意識に縛られている参加者には、傾聴しつつさり気なくものの見方を変えるようなアドバイスをしている。また、話のきっかけづくりになるような新聞の切り抜き等を用意するなどしている。

交流会の開催や進行、内容など、会館主導でなく参加者の思いや主体性を大事にすることを心がけている。


4.成果(講座修了生の活動、地域づくり、男女共同参画の視点、その他)

9月以降、毎回、10名前後の参加者がある。新規の参加者も毎回1、2名程度いるが、うまく溶け込めるような雰囲気を前からの参加者が作ってくれている。

年末には参加者自身から忘年会開催の提案があり、呼びかけた人が幹事になり、忘年会がおこなわれた。担当者も同席し、ふだんの交流会以上の和やかな会となった。

定期的に交流会を開催することにより、お互いが顔見知りになり、場に対する安心感、信頼感が生まれ、参加者同士、慰め励まし合う姿が見られる。徐々にピアサポートの場となりつつある。


5.今後に向けた展望と課題

今後は、現在、定期的に集まっている男性介護者の自主的な自助グループづくりを期待したい。また、現在、定期的に集まっているメンバーによる新しい参加者へのサポートにも期待したい。

これまでの介護経験に基づく当事者ならでは介護や家事等の工夫等の情報交換も重要であるが、当事者同士が話し合うことでメンタル面のケアも可能となっている。

女性会館でできることには限りがある。男性介護者自身の介護役割の受容の過程をサポートし、男性介護者の置かれている個々の状況を考慮したサービス情報の提供、場の提供は今後も継続していきたい。

男性介護者支援を考える時、女性被介護者の存在も忘れてはならない。ケア役割は女性の仕事と考えられがちな社会の中で、夫や息子に介護してもらう女性の気持ちにも寄り添いたい。男性介護者が介護される妻や母親の気持ちに気づく機会をつくっていくことも心掛けたい。

各々の抱える困難にきめ細かく対応し、利用できる制度やサービスについて的確な情報を提供できるようになるとともに、専門機関につなぐなどの役割も重要であり、努力したい。

 

静岡市女性会館  松下光恵
 

 
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